持てる力を存分に発揮した、1年生たちの中学デビュー戦
4月に入部してすぐ、新型コロナウイルスの感染拡大により、部活も活動停止。
大会の開催はもちろん、普段の練習も十分にできないまま数ヶ月がたち、
気づけば3年生の先輩たちは引退しまった。
新チームになって初めて迎える新人戦は、1年生にとって念願のデビュー戦。
大きな緊張に包まれるなか、持てる力を発揮した選手たちがいた。
写真/長浜匠(男子テニス)、池澤拓真(卓球) 文/谷口陽子
経験者の1年生が部のレベルを引き上げる結果に
男子ソフトテニスで優勝した小山城南中は、小学校時代からテニス経験のある1年生2人が、あえて2年生とペアを結成。3つのダブルスで争われる団体戦のため、先に2勝を確実に取りに行くという作戦が功を奏した。
試合後、有森大輝キャプテンは「自分にとっては初めての団体戦。1年生が引っ張ってくれたこともあるが、試合に出ていないメンバーも空気を和ませてくれた。誰か1人が欠けても優勝はできなかったと思う」と振り返った。1年生の健闘がチームにいい流れを呼び込んだことで、さらに部全体のレベルアップも期待できそうだ。
女子ソフトテニスで優勝した小山中も、1年生ペアが活躍。今年は練習時間が十分に取れなかったことを考え、3つのダブルスをあえて“いつものペア”で編成。見事に優勝を果たした。
「先輩として後輩のフォローを…という感じではなく、1年生の方が緊張していなかったので安心して任せられた。個人としては小学校のときから組んでいるペアで、去年も団体メンバーに入れてもらったのに結果を出せなかったので、今年こそはと思っていた」と須藤めいキャプテン。コンビネーションを優先したことで、プレイに集中できたようだ。
初試合で結果を残し、新たな目標を掲げる選手たち
卓球・女子個人戦で優勝した大谷中・細金美咲は、小学校時代から県でも上位の実力の持ち主。準決勝・決勝で対戦した小山三中の2年生を相手に、その力を存分に発揮した。
「同じクラブで何度も対戦していたので、緊張はなかったが、やっぱり中学生はミスが少ない。サーブの種類を増やしたり、ループドライブも使えるようになってきて、自分も成長できていると思うので、全国大会(全中)優勝を目指したい」と静かな闘志を燃やしていた。
弓道では、小山城南中の畠山竜太朗が1年生個人の部で初優勝。ジュニア世代の競技人口が少ない弓道では、中学の部活に入って初めて弓と矢を持つという選手も少なくない。小山市内の中学校でも、弓道部があるのは小山城南中だけだ。畠山も4月に入部して以来、6月頃まではほとんど練習もできず、今大会が初の公式戦だった。そんな中でも個人戦で好成績を残し、団体メンバーにも選出されたが、試合独特の雰囲気はやはり、かなりの緊張状態だったようだ。
「団体メンバーにも選んでもらったのに、緊張してぜんぜん的が見えていなかったし、力になれなかったことは悔しい。自分が今やるべきことを第一に考えて、次ことは先輩たちに教えてもらったことに感謝して、笑顔で送り出せる自分になりたい」と試合後に新たに決意を語った。
新型コロナウイルスの影響で、部活動のあり方も大きく変化した中学生たち。
さまざまな制限の中でも、前を向いて努力し続ける姿は、とてもたくましく、希望にあふれていた。
一日も早く、またいつものように仲間と肩を組んだり、ハイタッチしたりしながら笑顔を交し合える日が来ることを、彼らとともに待ちたいと思う。