3年前の球児たち

2022年夏。第104回 全国高等学校野球選手権大会。

栃木県からは、國學院栃木が37年ぶりに「夏の甲子園」出場の切符を手にしました。

初戦は、開幕初日の第1試合という緊張感のなか、静岡代表の日大三島と対戦。10-3と快勝しました。

 

続く2回戦の相手は、昨年の優勝校、智弁和歌山。

この試合も、見事な4人の投手リレーで、5-3の勝利を収めます。

 

國學院栃木はこのあとの3回戦で、熊本代表の九州学院に敗れましたが、堂々たる戦いぶりは多くの野球ファンを魅了しました。

 

この國學院栃木のマウンドをエースとして牽引したのが、2年生の盛永智也選手。

盛永選手は小山城南中学校の出身。中学時代から140キロ台を投げる注目のピッチャーです。

高校進学時はその進路も注目されるなか、國學院栃木に入学。1年生からマウンドに上がり、昨年夏は県大会2回戦で敗退。秋の新人戦では1・2回戦を完封勝ちしてベスト8まで勝ち上がりました。

 

そして迎えた今年の夏の県大会。

ノーシードから順調に勝ち上がっていった國學院栃木は、準決勝で県大会11連覇を狙う作新学院と対戦。

 

8回裏まで、盛永選手は3-0と作新打線を0点に抑える好投を見せます。

打たれたヒットはたったの4本。

しかし9回表、1番からの好打順で迎えた作新打線に集中打を浴び、ついに3-3と追いつかれてしまいます。

迎えた1アウト満塁の場面。作新のバッターは、2年生キャッチャーの草野晃伸選手。

草野選手は、ここで見事なタイムリーツーベースを放ち、2人のランナーを返し、ついに逆転。3-5とします。

 

9回表で一気に5点を奪われ、5-3と形成逆転された國學院栃木。

ここで点が取れなければ試合終了というピンチで、ヒット2本とフォアボールで粘って満塁のチャンスを作り、すぐさま2点を返し、5-5の延長に持ち込みます。

 

そして延長10回表、作新学院は先頭打者がヒットで出塁するも盗塁に失敗。打者3人で追加点を奪えません。

10回裏、国学院の攻撃。

1アウト・ランナーなし、打席には四番の平井悠馬選手。

ここで頼みの四番が、レフトスタンドへホームランを叩きこみ試合を決めます。

激闘を制した國學院栃木が、ついに作新学院の連覇を阻止した瞬間でした。

 

 

逆転劇の裏に熱いドラマが…

 

この國學院vs作新の一戦は、栃木県大会からすでに県内の高校野球ファンの間で騒然となっていました。

それは、9回に逆転のタイムリーを放った作新学院の2年生キャッチャー・草野選手が、盛永選手と同じ小山城南中出身で、中学時代にバッテリーを組んでいた“女房役”だったからです。

 

盛永選手は、中学2年当時ですでに135キロを投げる豪腕。

その球威やクセを、誰よりも知っているのが草野選手だったわけです。

 

本誌では、中学2年生当時の盛永選手たちを誌面で紹介していました。

当時、本誌は創刊号の発行に向けて準備を進めていた頃。

3年生が引退した直後の秋の中学新人戦・県大会で、当時2年生だった盛永選手や草野選手たちの小山城南中野球部が優勝したということで、小山市に本拠地を置く栃木ゴールデンブレーブスの飯原誉士氏と、対談をしてもらうことになりました。

栃木ゴールデンブレーブスも、球団創設3年目で、初のリーグ優勝を飾った年でもあり、小山市出身の飯原氏との対談は、両チームの優勝を記念する企画となりました。

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

小山市内の中学校から、全国の舞台で活躍する選手たち。

その裏では、部員数が少なくて悩むチームもあれば、期待されながらもケガで本領を発揮できずに引退していく選手たちもいます。

本誌は、どんな状況でも必死に夢を追い、がんばり続けるアスリートたちを、今後も応援していきます。

 

error: Content is protected !!