【vol,6 取材手記】髙松義伸選手インタビュー

東京2020パラリンピック・車いすバスケットボール銀メダリスト

髙松義伸選手と中学生の対談が実現

 

2021年某日。小山市内を中心に活動しているバスケットボールチーム「無限ーMUGEN No Limit TOCHIGIー(Eternity)」の練習場にて、東京2020パラリンピック銅メダリストの髙松義伸選手と、地元・小山の中学生たちとの対談が実現しました。

 

つい数ヶ月前にテレビで観たメダリストが、鮮やかなオレンジ色の日本代表ウェアを着て、目の前で本物のメダルを手にしている…それだけで、鳥肌が立ちそうなくらいの緊張が中学生たちの間にじわじわと広がっていくようでした。

 

そんな空気を和らげるように、髙松選手はとてもさわやかに、そしてとても自然に中学生たちの輪の中に入り、一緒に練習をしながら、まるで近所のお兄さんのように話かけてくれました。

はじめは近づくことさえためらっていた中学生たちも、髙松選手の競技用車いすに実際に座らせてもらったり、シュートやドリブルのコツを聞いていくうちに、髙松選手の明るく親しみやすい人柄に魅了されるとともに、改めて“すごさ”を実感したようでした。

 

対談では、「シュートのどこの部分を一番練習しましたか?」という質問に、「シュートは本当に得意じゃないので、ここで一緒に練習したら、そんな上手くないなってのがバレちゃう(笑)。気をつけているところは、指先が一番大事だと思ってるので、指先でボールを切るような感覚を大事にしていますす。僕は野球をやっていたので、ボールにスピンがかかりすぎちゃうみたい。今は、体を全体的に使ってなめらかにシュートを打てるように…と、トレーナーに怒られてるところです。むしろシュート教えてください!」と笑顔をみせてくれました。

また「常にポジティブという印象がありますが、その思える秘訣は?」という問いにも、「何事もなんとかなるだろうっていう気持ちで生きてるので、あんまり気にしないってことかな。僕あんまりシュート入らないけど。いっぱいシュート打つし(笑)。はずしても「すいませーん!」っていいながら帰っていくし…。確率は1/2だから、打っていけばそのうち入るでしょと思って打ってる。ホントはこんな気持ちで打ってちゃダメなんだろうけど、そういう感じで何事もあまり重く考えすぎないで、肩の力を抜いて考えてみることも大事かな」とアドバイスをしてくれました。

 

進路に悩む中学生たちに

「可能性を決めないで」と力強いアドバイス

 

中学時代は野球部だった髙松選手。中学3年のときに病気が判明し、その後は高校への進学はもちろん、病気の進行による左足切断という、さまざまな大きな決断を迫られることになりました。

この日、一緒に練習をした中学生たちもまた、進路などの決断をしなければならないとき。髙松選手は「自分の可能性を決めないでほしい」と言ってくれました。

「チャレンジすることはすごく大事だと僕は思っている。どれだけ自分がチャレンジできるか。中途半端に妥協して中途半端に終わるくらいだったら、たくさん失敗していい。失敗しないと何も始まらないし、その方があとで生きてくることがいっぱいあるはず」と、力強く彼らの背中を押してくれました。

 

髙松選手の笑顔の下には、逆境もチャンスに変える強い気持ちと、不屈の精神がありました。そしてもうすでに次のパラリンピックに向けて、髙松選手はスタートをきっています。

今回、取材をしたチームの中学生たちもその後、男子は15歳以下の全国大会「Jrウィンターカップ2021-2022」に栃木県代表として出場。惜しくも2回戦で敗退したものの、見事に全国の大舞台で戦い抜きました。

髙松選手、そしてコロナ禍でも地道に練習を続けてきた中学生たちも、これからのさらなる活躍に注目です!

 

※インタビューの詳細は本誌「小山スポーツマガジンFree Style vol,6」をご覧ください。

 

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